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家にいる2匹の雑種犬、       ポンタとボックンのお話。


by ponta200041
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変な名前

変な名前_e0049671_13513478.jpg夏の夜、閉店後のショッピングセンターの駐車場で拾ったボックン。

暗がりの中で、「柴だ!」と思って、思わず「おいで」と言っちゃった。
きれいそうだし、人なつっこいし、飼い主もすぐに見つかるだろうと思った。

ショッピングセンター付近を一緒に歩くと、灯りの付いているところには、どこへでも入って
いこうとした(スナック、コンビニ、民家等)。
途中で交番を見つけたので、茶色い柴犬を拾った事を伝えると、おまわりさんから
動物愛護センターにも連絡しておくよう言われた。
既に夜の10時をまわっており、とりあえず家に連れて帰った。

朝になって見てみると、柴の雑種のようだった。
きれいだと思ったが、被毛は触るとチクチクするほど硬く、量も少ない上、所々湿疹で
ずるむけになっていた。
首輪もひどく痛んでおり、放浪の長さを物語るようだった。
飼い主は見つからないような気がした。

いろんな名前で呼んでみたが、どれも反応がなく、雄だったのでとりあえず
「ボックン」と呼ぶことにした。

動物愛護センターにもインターネットの迷子犬の掲示板にも、該当する犬は載ってなかった。

拾った時は、とても人なつっこそうに見えたボックンだったが、体を触られるのをすごく嫌がり、見知らぬところに連れてこられたショックのためか、はじめは食餌もほとんど食べなかった。
庭に繋いでおいたボックンは、夜は必ず土を掘って寝ていた。

5日ほどたった頃、見かねた母が、意を決して風呂に入れたのだが、暴れるわ汚いわで、
「拾ってきたくせに」と散々文句を言われた。
きれいになったところで、病院に行った。
血液検査の結果、感染症等はなく、湿疹の薬をもらって帰ってきた。
その日から家に入れることにした。

最初に家に入ったボックンは、あちこち匂いをかいでまわり、掃除機にオシッコをひっかけた。
「ダメ!」と言ったら、その後家の中でオシッコすることはなかった。

ポンタも、最初の1日2日はいぶかしがって吠える事もあったが、なにせボックンが
ウンともスンとも言わない犬なので、ひどい拒否反応はなかった。

ただ、夜、エアコンを切ると、すごい勢いで湿疹を掻きだすのだが、湿疹を掻く足がいちいち
床に当たるため、トントントンという音が一晩中響いた。 
また、ズルムケ箇所を掻く度に「ギャイーン」と叫んだ。
仕方なくエアコンは24時間フル稼働となった。

一旦、家に入ったボックンは、今度はなかなか家から出ようとせず、散歩の度に抵抗した。

でも、秋も深まる頃には、新しい生活にも慣れ、湿疹も大分良くなり、剥けた皮膚にも
少しずつ毛が生え始めた。
ただし、私たち家族の事は、相変わらず、「餌をくださる見ず知らずのお方」としか
思っていないようで、食べ物をもらう時以外尻尾を振る事はなかった。

やがて春になり、ズルムケが跡形も無く消えた頃、最初にかかったきりだった病院から
狂犬病の予防接種のお知らせが届いた。

宛名を見ると、「伊藤ボックンちゃん」になっていた。

いくらなんでも、クン(君)にチャン付けはないだろうと笑っていたが、
病院でもしっかり「ボックンちゃん」と呼ばれていた。

ちゃんとした名前を付ければよかったと後悔しても遅かった。
by ponta200041 | 2005-08-27 17:41 | ポンタとボックン